信用できない人間の一例

私がもっとも嫌いなタイプの人間とは、あたかも自己が犠牲になっている或いは無償の奉仕をしているかのように装いつつ、最終的には自分の利益になるように物事を誘導しようとする人間です。比ゆ的に表現すれば、“自分で火をつけておきながら、延焼を防いでやると言う放火犯”のようなものです。
 この種のタイプの人間は意外に周囲に存在するものです。例えば性質の悪いセールスマンにはこの種の話し方をする人が多いように感じます。実際に経験した例を挙げると、小規模の建築業者(リフォーム請負)、金属買い取り業者がそれにあてはまります。
 そして、こうしたタイプの人間にもう一つ共通しているのが、相手に自分のやり方が通じないと見るや脅迫的な態度に出るということです。もっともそれは必ずしも脅しではなく、心理的に追い詰められると言っても良いかと思います。しかも、彼は脅迫に至るまでにも周到な準備をしています。贈り物をしたり、相手の便宜になるようなことをして“恩に着せる”のです。それも強引にしてくるので、断るのは容易なことではありません。
 そして、相手の心に“負債(しかし、彼には何の負担にもならないこと)”を背負わせたうえで、自分の利益になるように相手との関係を誘導してしまうのです。
 一度彼のようなタイプの人間の網に落ちると、容易に抜け出すことはできません。時には押して時には引き、また時には近づいて時には離れ、関係の主導権を決して相手に渡さないようにするからです。
 さらに嫌なことに、一度彼の網に落ちると、自分自身もまた彼の網の一部にされてしまいます。彼は相手から引き出した小さな利益をそのまま手にするような安易なことはしません。それをまた別の人間に押し付けることによって、さらに大きな利益が自分に舞い込むように画策します。
 こうしたタイプの人間を自分の周囲に見つけたら頑なに拒否するしかありません。多少馬鹿にされるくらいに頑なな態度を示さなくてはなりません。間違っても自分の頭の良さや目利きな部分を出そうものなら、再びそれをきっかけにして彼の網にからめ捕られてしまいます。一時の侮辱に耐えることで、将来の大きな不利益を回避するという不本意な方法でしか彼から逃れることはできないのです。

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